テレワーク中にVPN接続が遅い・途切れる原因は、回線の速度不足ではなく、VPNの仕組みによるオーバーヘッドや、Wi-Fi環境の不安定さであることがほとんどです。
VPN接続では通常10〜30%の速度低下が発生しますが、これは正常な範囲です。問題は速度が半分以下に落ちる、頻繁に切断される場合です。
まず確認:VPNの問題か、回線の問題か
対策の前に、原因がどこにあるかを切り分けてください。
切り分け方:VPNなしで速度測定する
- VPN接続を切った状態で速度測定サイトにアクセス
- 下り速度・上り速度・Ping値を確認
| VPNなしの結果 | 原因の推定 | 対策 |
|---|---|---|
| 速度が十分出ている(下り50Mbps以上) | VPNサーバー側の問題 | 会社のIT部門に報告 |
| 速度が出ていない(下り50Mbps未満) | 回線またはWi-Fi環境の問題 | 以下の対策を順番に試す |
| VPNなしでは安定、VPNありで頻繁に切断 | VPN設定またはWi-Fiの問題 | 有線接続に切り替え → IT部門に相談 |
速度測定の方法は『スマホでできるWi-Fi速度の測り方』で解説しています。
回線側でできる対策
対策1:有線LAN接続にする(最優先)
VPN接続はWi-Fiの不安定さに影響されやすいです。パケットロスが発生すると、VPNの暗号化処理の再送が増え、体感速度が大幅に落ちます。
有線接続にするだけでVPNの安定性が劇的に改善するケースが非常に多いです。デスクの近くにルーターがない場合は、フラットタイプのLANケーブル(壁際に這わせやすい)を使う方法もあります。
対策2:IPv6(IPoE)に切り替える
夕方以降にVPNが特に遅くなる場合、回線の混雑が原因の可能性があります。IPv6(IPoE)接続に切り替えることで、混雑を回避できます。
確認方法と切り替え手順は『IPv6とは?遅い回線が速くなる仕組み』をご覧ください。
対策3:VPN接続中のバックグラウンド通信を減らす
VPN接続中は、PCのバックグラウンドで動いているアプリも含めてすべての通信がVPNサーバーを経由します。以下のアプリはVPN接続中の帯域を大きく消費します。
- OneDrive / Google Drive / Dropbox — 自動同期を一時停止する
- Windows Update — アクティブ時間外に設定する
- ブラウザの自動更新タブ — 不要なタブを閉じる
ポイント
会社のVPNに「スプリットトンネリング」が設定されている場合、業務外の通信(YouTubeやSNS等)はVPNを経由しません。この設定があるかどうかはIT部門に確認してください。
VPNサーバー側の問題
以下の場合は、自宅の回線で対策しても改善しません。会社のIT部門に報告してください。
- 全社員がVPNを使う時間帯(9〜10時、13時頃)に集中して遅くなる → VPNサーバーの容量不足
- VPNなしでは問題ないのに、VPN接続時だけ極端に遅い → VPNサーバーの混雑 or 設定の問題
- VPNが頻繁に切断される(有線接続でも) → VPNソフトウェアまたはサーバーの問題
IT部門に伝える際は、VPNなしの速度測定結果とVPNありの速度測定結果を両方添えると対応が早くなります。
回線自体を変えるべきケース
上記すべてを試してもVPN接続が実用に耐えない場合は、回線側の根本的な問題が考えられます。
- マンションのVDSL回線 — 最大100Mbps。VPNのオーバーヘッドを加味すると実効30〜50Mbps程度になり、Zoom + ファイル共有の同時利用が厳しい
- ホームルーター — Ping値が不安定なため、VPN接続が頻繁に切断される
- 古い光回線でIPv6未対応 — 夜間の混雑でVPN速度がさらに低下する
まとめ
| 対策 | 効果 | 自分でできるか |
|---|---|---|
| 有線LAN接続 | 大(安定性が劇的に向上) | できる |
| IPv6(IPoE)切り替え | 中(夜間の混雑回避) | できる |
| バックグラウンド通信削減 | 小〜中 | できる |
| スプリットトンネリング設定 | 大 | IT部門に依頼 |
| VPNサーバー増強 | 大 | IT部門に依頼 |
まずは有線接続 + VPNなしでの速度測定で原因を切り分けてください。
Zoom/Teamsの通信トラブル全般は『テレワーク中にZoom/Teamsが落ちる時の回線対策』で解説しています。
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