この記事の結論

ネットが遅い原因は、大きく分けて5つあります。

  • 回線・配線方式の問題 — ルーターを変えても直らない。回線の乗り換えが必要
  • 回線の混雑(IPv6未対応) — プロバイダ側の設定変更だけで劇的に改善することがある
  • Wi-Fi環境の問題 — ルーターの置き場所や機器の買い替えで改善。回線変更は不要
  • 機器の一時的な不具合 — 再起動で直ることが多い
  • 回線側の障害・メンテナンス — 待つしかない

重要なのは、まず自分の「遅い」がどのタイプかを特定することです。原因によって対処がまったく違うのに、多くのサイトは「とりあえず光回線に乗り換えましょう」と結論づけます。

当サイトでは、回線を変えなくても直るケースは正直にそうお伝えします。以下のチェックリストで、あなたの症状に一番近いものを選んでください。

あなたの「遅い」はどのタイプ?

ネットが遅い原因5タイプの分岐フロー

まず、今の症状に一番近いものを選んでください。

① 常に遅い(時間帯に関係なく遅い) → 回線そのものか、配線方式に問題がある可能性が高いです。「回線・配線方式の問題」のセクションへ進んでください。

② 夜だけ遅い(昼間は普通に使える) → 回線の混雑か、IPv6(アイピーブイシックス)が使えていない可能性があります。「回線の混雑・IPv6未対応」のセクションへ。

③ 特定の部屋・場所だけ遅い → Wi-Fiの電波環境の問題です。回線を変える必要はありません。「Wi-Fi環境の問題」のセクションへ。

④ 急に遅くなった(昨日まで普通だった) → 機器の不具合か回線障害の可能性が高いです。まずルーターとONU(回線終端装置)の電源を抜いて30秒待ち、入れ直してみてください。それでも直らない場合は『Wi-Fiが急に遅くなった時のチェックリスト』で手順を確認できます。

⑤ 途切れる・切れる(速度は出るが安定しない) → 速度の問題とは原因が異なります。『Wi-Fiが途切れる・切れる原因と対策』で詳しく解説しています。

⑥ そもそも繋がらない(速度以前の問題) → 本記事の対象外です。『Wi-Fiが繋がらない時の対処法』をご覧ください。

そもそも「遅い」の基準は?

「遅い」と感じても、実際に何Mbps出ているかを測らないと、原因の切り分けができません。

用途別に必要な速度の目安を簡単にまとめると、以下のとおりです。

用途必要な速度の目安
Webサイト閲覧・SNS5〜10 Mbps
YouTube(HD画質)10〜20 Mbps
Netflix / Amazon Prime(4K)25〜50 Mbps
Zoom / Teams(ビデオ会議)10〜30 Mbps
オンラインゲーム30〜100 Mbps(+Ping値が重要)

この目安を大幅に下回っている場合は、何らかの原因で速度が出ていない状態です。

まず速度を測ってみる

スマホのブラウザで「インターネット 速度テスト」と検索すると、Googleの簡易測定ツールが表示されます。詳しい測り方は『スマホでできるWi-Fi速度の測り方』で解説しています。

用途別の必要速度についてもっと詳しく知りたい方は、『ネット速度の目安 — 用途別に必要な速度』をご覧ください。

回線・配線方式の問題(自分では直せない)

該当する症状: 時間帯に関係なく常に遅い。速度測定で50 Mbps以下しか出ない。

もっとも厄介ですが、もっともよくある原因がこれです。特にマンションにお住まいの方は、配線方式がVDSL(最大100 Mbps)の可能性があります。

VDSL

マンションの共用部まで光ファイバーが来ているものの、共用部から各部屋までは電話線(メタル線)で接続する方式です。最大速度が100 Mbpsに制限されるため、実測で30〜50 Mbps程度しか出ないケースが多く見られます(速度報告サイトの集計傾向による目安)。

VDSLの場合、ルーターを最新モデルに買い替えても意味がありません。ボトルネックは部屋の中ではなく、共用部から部屋までの配線にあるからです。

この場合の選択肢は、主に3つあります。

  1. マンションの光配線方式への切り替え工事を待つ(管理組合の決議が必要)
  2. 個別に戸建てタイプの光回線を引く(大家の許可が必要)
  3. ホームルーター(5G対応)に切り替える(工事不要で即日使える)

マンションの配線方式の確認方法や具体的な対処法は、『マンションのネットが遅い・変えたい 完全ガイド』で詳しく解説しています。VDSL方式かどうかの確認方法は『VDSLとは?遅い理由と配線方式の見分け方』をご覧ください。

戸建ての場合は、そもそも契約している回線の速度プランが低い(100 Mbpsプランなど)可能性があります。契約書やプロバイダのマイページで確認してみてください。

回線の混雑・IPv6未対応(プロバイダ側の問題)

該当する症状: 昼間は速いのに夜(19時〜23時頃)だけ遅くなる。

光回線を使っているのに夜だけ遅くなる場合、回線の混雑が原因であることがほとんどです。

従来のPPPoE(ピーピーピーオーイー)という接続方式は、プロバイダの設備を経由してインターネットに繋がります。夜間はこの設備にアクセスが集中するため、速度が低下します。高速道路の渋滞と同じ仕組みです。

これを解消するのがIPv6 IPoE接続です。PPPoEの混雑ポイントを通らず、直接インターネットに繋がるため、夜間でも速度が落ちにくくなります。IPv6の仕組みやメリットは『IPv6とは?遅い回線が速くなる仕組み』で、接続方式の違いは『IPoEとPPPoEの違い — なぜIPoEは速い?』で図解しています。

PPPoE接続とIPoE接続の経路比較

対処法は以下のとおりです。

  1. 現在の接続方式を確認する — プロバイダのマイページ、またはルーターの管理画面で「IPv6」「IPoE」「v6プラス」などの表記があるかチェック
  2. IPv6が無効なら有効にする — 多くのプロバイダではマイページから申し込み可能。追加料金なしのケースがほとんど
  3. ルーターがIPv6に対応しているか確認 — 古いルーターはIPv6 IPoEに対応していないことがあります

注意

IPv6を有効にしても速度が改善しない場合は、プロバイダの設備自体が混雑している可能性があります。その場合はプロバイダの変更(光コラボなら事業者変更)を検討する段階です。手順は『光回線の乗り換え完全ガイド』で解説しています。

Wi-Fi環境の問題(自分で直せる)

該当する症状: 特定の部屋だけ遅い。ルーターの近くでは速い。

この場合、回線を変える必要はありません。Wi-Fiの電波が部屋まで十分に届いていないだけです。

主な原因と対処法をまとめます。

ルーターの置き場所が悪い

Wi-Fiの電波は、壁・床・家具を通るたびに弱くなります。特に水槽、コンクリート壁、金属製の棚は電波を大きく遮ります。ルーターは「家の中心」「床から1〜2mの高さ」「周囲に遮るものがない場所」に置くのが理想です。

ルーターが古い

Wi-Fi規格は年々進化しています。目安として、2019年以前に購入したルーターはWi-Fi 5(802.11ac)以前の規格で、最新のWi-Fi 6 / 6E対応ルーターに比べて速度・安定性に差が出ます。

Wi-Fi規格最大速度(理論値)策定年
Wi-Fi 5(11ac)6.9 Gbps2014年
Wi-Fi 6(11ax)9.6 Gbps2020年
Wi-Fi 6E(11ax)9.6 Gbps(6GHz帯追加)2022年
Wi-Fi 7(11be)46 Gbps2024年

家が広い・2階建て以上

1台のルーターでは電波が届かない場合、メッシュWi-Fiの導入が有効です。メッシュWi-Fiは複数の機器で1つのネットワークを構成し、家全体をカバーします。中継機と違い、移動しても自動で最適な機器に切り替わるため、速度低下が少ないのが特徴です。

ポイント

ルーターの置き場所を変えるだけで速度が2倍以上になることもあります。まずは「ルーターの近く」と「普段使う場所」で速度を測り比べてみてください。差が大きければ、回線ではなくWi-Fi環境の問題です。

Wi-Fiルーターの選び方やメッシュWi-Fiの活用方法、置き場所の具体例は、以下の第4期記事で詳しく解説しています。

状況別ガイド — あなたの環境に合った記事を読む

ここまでの内容で原因の方向性がつかめたら、以下の記事で具体的な対処法を確認してください。

住環境で選ぶ

症状で選ぶ

用途で選ぶ

速度について詳しく知る

回線を変えることにした方

まとめ

ネットが遅い原因は5つに分類できます。

  1. 回線・配線方式の問題 → 回線変更が必要(マンションのVDSLが代表例)
  2. 回線の混雑・IPv6未対応 → 設定変更だけで改善する可能性あり
  3. Wi-Fi環境の問題 → ルーター交換・置き場所変更で解決。回線変更は不要
  4. 機器の一時的な不具合 → 再起動で解決
  5. 回線側の障害 → 復旧を待つ

もっとも大切なのは、原因を特定してから対処することです。原因が違えば対処法もまったく異なります。「とりあえず回線を乗り換える」は、最善の答えではないかもしれません。