結論:すべてのVDSLが終わるわけではない

2026年1月31日、NTT東日本・西日本は一部の建物でVDSL/LAN配線方式のサービスを終了しました。ただし、すべてのVDSLマンションが対象ではありません。

対象になったのは、「光配線方式の設備」と「VDSL方式の設備」が両方入っている建物です。つまり、すでに光配線方式に切り替えられる環境が整っているのに、VDSLのまま利用していた建物が対象です。

VDSLしか使えないマンション(光配線方式の設備が未導入の建物)は、今回のサービス終了の対象外です。 引き続きVDSLを利用できます。

まず自分のマンションが対象かどうかを確認し、状況に応じて行動してください。

VDSL装置の型番で配線方式を見分ける

部屋の機器を見るだけで、自分の部屋が今どの配線方式で繋がっているか判別できます。NTTのVDSL装置には型番が決まっていて、表面のラベルから確認可能です。

型番別の見分けチャート

型番種類配線方式速度 (理論値)
VH-100ESiVDSLモデム (集合装置側)VDSL方式上り/下り 各 100Mbps
VH-100「3」E「N」VDSLモデム (宅内側)VDSL方式上り/下り 各 100Mbps
VH-50 シリーズ旧型VDSLモデムVDSL方式概ね 50〜100Mbps
GE-PON-ONU 「H」「N」光回線終端装置光配線方式1Gbps
XG-PON-ONU10G対応ONU光配線方式 (10G)10Gbps

VH- で始まるモデムが接続されていれば、ほぼ確実にVDSL方式です。光配線方式に切り替わるとこのVH-XXは撤去され、代わりに光コンセント(壁面の白い四角いコネクタ)とONU(GE-PON型の小型装置)が設置されます。

部屋の機器を見るときのチェックポイント

  • モジュラージャック(電話線端子)から線が出ている → VDSL方式の可能性が高い
  • 壁の「光」とラベルされた光コンセントから線が出ている → 光配線方式
  • 建物の共用部にLAN配線盤が設置されている (RJ-45終端) → LAN配線方式
  • モデム表面に “VDSL” と印字されている → 確実にVDSL方式

写真や現物がなくても判別する方法

設置済みの機器を直接見られない場合(賃貸の入居前確認など)、契約事業者のマイページで「契約プラン名」を確認すると概ね判別できます。

  • 「マンション・タイプ2」「マンション・ミニ」「VDSL方式」と表記 → VDSL
  • 「ギガマンション」「ハイスピードタイプ」「光配線方式」と表記 → 光配線
  • 「LAN配線方式」「全戸一括」と表記 → LAN配線方式
注意

同じ建物でも住戸ごとに配線方式が混在するケース(途中で光配線対応工事をした建物)があります。最終的には契約事業者のサポートに住所と建物名を伝えて確認するのが確実です。

自分のマンションが対象か確認する方法

方法1:NTTからの通知を確認する

対象のマンションには、NTT東日本・西日本からダイレクトメールや郵便で「光配線方式への移行のご案内」が届いているはずです。過去の郵便物を確認してみてください。

方法2:NTTのエリア確認サイトで調べる

NTT東日本・西日本の公式サイトで、自分のマンションの住所を入力すると、利用可能なサービスが表示されます。

  • 「フレッツ 光ネクスト マンションタイプ」と表示される → VDSLまたはLAN配線方式(光配線方式の設備が未導入の可能性)
  • 「フレッツ 光ネクスト ギガマンション」等と表示される → 光配線方式が利用可能

方法3:管理会社に問い合わせる

「NTTのVDSLサービス終了の件で確認したいのですが、当マンションは光配線方式への移行の対象になっていますか?」

管理会社がすでにNTTとやり取りしている場合は、詳細を教えてもらえるはずです。

対象だった場合 — 今すぐやること

すでにネットが使えなくなっている場合

2026年1月31日の期限を過ぎて移行工事が完了していない場合、VDSLサービスが停止している可能性があります。

緊急の対応:

  • 契約中のプロバイダ(ドコモ光、ソフトバンク光など)に連絡して、光配線方式への切り替えを申し込む。 建物にはすでに光配線方式の設備が入っているため、各部屋の工事だけで復旧できます
  • 工事までの間のつなぎとして、ホームルーターを検討する。 工事不要で最短翌日から使えます

まだネットは使えているが、移行手続きがまだの場合

NTT東日本では工事費無料キャンペーンが延長されています。まだ手続きをしていない方は、早めにプロバイダに連絡してください。

光コラボ(ドコモ光、ソフトバンク光など)を利用中の方は、契約先のプロバイダが窓口です。「VDSLから光配線方式へのタイプ変更を申し込みたい」と伝えてください。

2025年4月の料金改定 — VDSLと光配線方式が同額になった

NTT東日本は2025年4月にフレッツ光ネクストの料金体系を見直し、これまで月額に差をつけていたVDSL方式と光配線方式の基本料金を同額(マンション・タイプ2:4,510円相当・税込)に統一しました(2026年6月時点・公式要確認)。

改定前後の主な変化

項目改定前 (〜2025年3月)改定後 (2025年4月〜)
VDSL方式 月額 (例)約 3,800〜4,200円約 4,500円
光配線方式 月額 (例)約 4,500〜4,700円約 4,500円
価格差VDSLの方が数百円安い同額
移行を控える理由料金が安いから(消失)

この改定が意味すること

改定前は「VDSLの方が月数百円安いから、速度に不満がなければVDSLで継続」というユーザーが一定数いました。今回の改定で価格差が消えたため、**「VDSLを選び続ける合理性は実質的に料金面では無くなった」**ことになります。

NTTがこの改定を行ったのは、光配線方式への移行をより加速させるためです。料金差がなくなれば、ユーザーが自発的に光配線方式へのタイプ変更を申し込む動機が増えるためです。

光コラボ事業者の料金はどうなったか

光コラボ各社(ドコモ光・ソフトバンク光・楽天ひかり等)も基本料金はNTTの卸料金に連動するため、概ね同じ動きをしています。ただし各社の特典・キャンペーン(工事費無料、キャッシュバック等)と組み合わせると実質月額は変わるため、契約中の事業者からの請求書か契約者用マイページで最新の請求額を確認してください。

対象外だった場合 — VDSLしか使えないマンション

今回のサービス終了の対象外であっても、VDSLのまま使い続けることの課題は変わりません。 最大100Mbpsの上限は残ります。

NTTはVDSLの段階的な巻き取り(光配線方式への移行)を今後も進めていく方針です。現時点でVDSLしか使えないマンションでも、将来的に光配線化の案内が届く可能性はあります。

「いま動くべきか、待つべきか」の判断基準

あなたの状況判断
テレワークやオンラインゲームで支障が出ている今すぐ動いた方が良い — ホームルーターか個別の光回線引き込みを検討
契約の更新月が近い違約金なしで動けるタイミングなので、選択肢を比較しても良い
Web閲覧やメール程度で困っていない無理に動く必要はない。NTTからの案内を待っても問題なし
2025年4月以降の料金改定で月額が上がった光配線化をNTTにリクエストする動機になる

VDSLしか使えないマンションでの選択肢

  1. NTTに光配線化をリクエストする — NTT東日本のWebフォームから要望を送信できる。詳しくは「VDSLから光配線への切り替え方法と費用
  2. 個別に光回線を引く — 大家の許可が必要だが、共用設備に依存しない独立回線。詳しくは「マンションで個別に光回線を引く方法
  3. ホームルーターに乗り換える — 工事不要で手軽。5G対応エリアならVDSLより速い。詳しくは「VDSLマンションの代替案 — ホームルーターという選択肢

実測データで見る VDSL と光配線方式の差

理論値ではVDSLは最大100Mbps、光配線方式は最大1Gbps(=1,000Mbps)。10倍の差があります。しかし実生活で体感する差はもう少し複雑です。

実効速度の典型値(時間帯別)

配線方式平常時 (昼間)夕方〜夜間深夜
VDSL方式下り30〜70Mbps / 上り20〜50Mbps下り10〜30Mbps / 上り5〜20Mbps下り60〜90Mbps / 上り40〜70Mbps
光配線方式 (1G)下り300〜700Mbps / 上り200〜600Mbps下り200〜500Mbps / 上り150〜400Mbps下り500〜900Mbps / 上り400〜800Mbps

VDSLは理論値が100Mbpsでも、電話局からの距離(線路長)が長いほど減衰します。また、建物内のVDSL集合装置から各部屋までの電話線も配線距離・劣化具合で実効速度が変動します。

VDSLが体感に支障が出やすい用途

  • ビデオ会議(Zoom・Teams等)の上り: 上り速度が10Mbps切ると、HD品質では映像が乱れやすくなります
  • クラウド同期 (Dropbox・OneDrive・Googleドライブ等) の大容量アップロード: VDSLの上り20Mbps程度では数GBのファイル送信に時間がかかります
  • オンラインゲーム: VDSLは「速度」より「Ping値」「遅延揺らぎ(ジッタ)」が問題になりやすく、シビアなFPSやMOBAでは支障が出ます
  • 4K動画ストリーミング (Netflix・Amazon Prime等): 下り25Mbps以上を推奨されるため、夜間混雑時のVDSLでは品質が落ちることがあります
  • 複数人が同時に在宅勤務: 帯域共有で各人の実効速度が大きく落ちます

VDSLでも問題ない用途

  • 通常のWebブラウジング・SNS・LINE
  • 単体でのHD(720p〜1080p)動画視聴
  • メール・チャット
  • 単独利用での標準解像度の動画会議

「速度に不満がない」と感じる方は、夜間や複数人同時利用のシーンで困っていないだけのケースが多く、用途が限られているとも言えます。

VDSL終了の背景 — なぜNTTは移行を進めるのか

NTTがVDSLから光配線方式への移行を推進する背景には、主に3つの理由があります。

設備の老朽化とコスト増。 VDSL方式の集合装置は部材費が高騰しており、維持コストがかさんでいます。新たに部品を調達すること自体が難しくなってきています。

通信品質の向上。 テレワークやオンライン学習の普及で、マンションのネット利用量は増加の一途です。VDSLの100Mbpsでは需要に応えきれないケースが増えています。

料金体系の統一。 NTT東日本は2025年4月の料金改定で、VDSL方式と光配線方式の月額料金を同額にしました。これにより「VDSLの方が安い」という理由で移行しないケースをなくし、光配線化を加速させる意図があります。

つまり、VDSLはいずれ全面的に光配線方式に置き換わる方向です。今は対象外のマンションでも、将来的に移行の対象になる可能性が高いと言えます。

契約中の事業者別 — 手続き窓口の早見表

VDSL終了の手続き窓口は、契約している光コラボ事業者によって異なります。NTT東日本/西日本ではなく、契約中の事業者に「光配線方式へのタイプ変更」を申し込むのが正しいルートです。

主要光コラボ事業者の問い合わせルート

契約中の事業者連絡先カテゴリ申し込み内容
ドコモ光ドコモ インフォメーションセンター(151)またはマイドコモ「ドコモ光のタイプ変更(VDSL → 光配線方式)」を希望
ソフトバンク光SoftBank 光 サポートセンター(My SoftBank経由)「ソフトバンク光の配線方式変更」を希望
楽天ひかり楽天ひかりカスタマーセンター(メンバーズステーション)「楽天ひかりの光配線方式へのタイプ変更」を希望
@nifty光@nifty 光カスタマーセンター「@nifty光のタイプ変更(VDSL → 光配線)」を希望
GMOとくとくBB光BBnaviまたはGMOとくとくBBサポート「GMOとくとくBB光のタイプ変更」を希望
enひかりenひかりサポートデスク「enひかりの光配線方式へのタイプ変更」を希望
その他光コラボ各事業者のサポート窓口「光配線方式への変更」と伝える
フレッツ光 直接NTT東日本: 0120-116-116 / NTT西日本: 0120-116-116「フレッツ光ネクストの光配線方式への変更」を希望

申し込み時に伝える3つの情報

問い合わせをスムーズに進めるため、以下を手元に用意しておくと早いです:

  1. 契約者情報 — 契約者名・登録電話番号・お客様番号(請求書や契約書類に記載)
  2. 建物情報 — マンション名・部屋番号・建物の管理会社名(分かる場合)
  3. 現在の機器 — VH-100など、現在使っているVDSLモデムの型番(前述の「型番別の見分けチャート」参照)

工事日程の目安

  • 建物に光配線設備がすでに併設されている場合: 申し込みから 1〜3週間程度で宅内工事
  • 建物に光配線設備がなく、新たに導入工事が必要な場合: 管理会社・オーナーとの調整が必要なため 1〜数ヶ月
  • 個別引込(戸建てプラン)でしか光化できない場合: 大家・管理会社の許可と工事日程で 1〜2ヶ月

VDSL終了の今後の見通し — 2027年以降のロードマップ

NTT東西は2026年1月31日に一部建物のVDSL/LAN配線方式の提供終了を実施しましたが、これは全VDSL終了の始まりに過ぎないと見るべきです。今後の見通しを整理します。

NTT東西の長期計画(推測含む)

  • 2026年〜2027年: 「光配線設備が併設されている建物」のVDSL→光配線方式への移行を順次進める
  • 2027年〜2028年: VDSLしか設備がない建物にも「光配線方式への新規導入」の打診が増える見込み(管理組合との合意形成が前提)
  • 2028年〜2030年頃: 一部地域で「VDSL方式の完全終了」の予告が出始める可能性
  • 2030年代以降: フレッツ光網のVDSLは原則終了し、光配線方式かホームルーター・モバイル代替に集約される見通し

NTT東日本は公式発表でも「光配線方式への段階的な巻き取りを継続する」とのスタンスを示しており、現時点で対象外でも将来的に対象になる可能性は高いと考えられます。

「いま動くべきか」の最終判断材料

これらの長期見通しを踏まえると、現時点で対象外マンションでも以下のいずれかに当てはまるなら早めに動くメリットがあります:

  • 5年以上同じマンションに住む予定 → どのみち将来的に移行が必要になる
  • テレワーク・配信・ゲームで速度に不満 → 待つ理由がない
  • 2025年4月の料金改定でVDSLの料金メリットがなくなった → 経済合理性も移行を支持
  • 管理組合に光配線化を提案できる立場 → 建物全体の移行を主導すれば家賃・資産価値にプラス

逆に様子見でも良いケース:

  • すぐ引越し予定 → 次の住居で判断
  • Webブラウジング・メール程度しか使わない → 急ぐ理由がない
  • NTTからまだ通知が届いていない → 案内の有無は移行優先度の目安になる

まとめ

VDSL終了と聞くと焦りますが、まずは自分のマンションが対象かどうかを確認してください。

対象だった場合は、プロバイダに連絡して光配線方式への切り替えを申し込むだけです。工事費は無料で、月額料金もほぼ変わりません。

対象外(VDSLしか使えないマンション)の場合は、すぐにネットが使えなくなることはありません。ただし、速度に不満があるなら、NTTへの光配線化リクエスト・個別の光回線引き込み・ホームルーターの3つの選択肢を検討してください。

マンションのネット問題の全体像については「マンションのネットが遅い・変えたい 完全ガイド」を参照してください。