Wi-Fiが繋がらなくなって「ルーターを再起動してください」と案内されたのに、そのルーターが壁の扉の中にあって電源プラグに手が届かない — この記事はその状況のための手順書です。

結論から言うと、盤の中の電源プラグは抜きません。分電盤のブレーカーで電気ごと落とします。

その扉の中にある設備を情報分電盤(じょうほうぶんでんばん)といいます。マルチメディアコンセント、マルチメディアポート、情報盤、MBなど、住宅メーカーによって呼び名が違います。

結論ファースト

  1. 再起動は住宅の分電盤(ブレーカー)側で行う。情報分電盤の扉を開ける必要はない
  2. 通電したまま盤の中の機器に手を入れない。メーカーが感電のおそれを明記している
  3. どのブレーカーかは回路一覧表か管理会社・施工業者で確認する。推測で切らない(専用回路が無い住宅もある)
  4. 扉を開けたときだけ速くなるなら、原因は不調ではなく電波が遮られている

情報分電盤への給電経路 — 主分電盤のブレーカーから情報分電盤へ電気が送られており、再起動はブレーカー側で行い盤の中は触らない

なぜプラグを抜かないのか

一般的なルーターの再起動は「電源プラグを抜いて挿す」ですが、情報分電盤の中ではその前提が成り立ちません

因幡電機産業(アバニアクト)の情報盤の取扱説明書には、次の記載があります。

電源をONにした状態で本製品や内部機器の操作や接続をしないでください。感電の原因になる可能性があります。

(出典: [1]

つまり、通電中に中の機器を触ること自体が想定されていません。同じ説明書には「電源コードや内部機器を加工したり、無理に曲げたり、引っ張ったり、ねじったり、束ねないでください」ともあります。盤の中は配線が詰まっていることが多く、奥の機器のプラグを引っ張って抜くのは、この注意に正面から反します。

そして現実的な問題として、壁に埋め込まれていて手が入らない住宅が多くあります。タワーマンションなど、そもそも扉の奥行きが浅く、機器が固定されているケースです。

ブレーカーで落とせば、この両方を回避できます。 盤を開けずに、通電を止めた状態で再起動できます。

ブレーカーを探す

情報分電盤へ電気を送っているのは、住宅の分電盤(ブレーカーがずらりと並んだ箱)の中の1つです。玄関・洗面所・キッチン脇などにあります。

まず、分電盤の内側の扉を見てください。回路一覧表が貼られていることが多く、「情報分電盤」「情報盤」「マルチメディア」「MB」など、盤の呼び名がそのまま書かれていれば、それが該当します。

壁に埋め込む形で情報分電盤が設置されている住宅は、設計の段階から情報配線を織り込んでいるため、分電盤側にも表示が用意されていることがあります。

見つからないときは切らない

ただし必ず専用のブレーカーがあるとは限りません。 住宅分電盤の分岐回路は、キッチンやリビングのコンセント、照明などに割り当てられ、エアコンやIHのように消費電力の大きい機器にだけ専用回路が引かれるのが一般的です(出典: [2])。情報盤が他の部屋のコンセントと同じ回路になっている住宅もあります。

該当のブレーカーが特定できないときに、片っ端から切って試すのはやめてください。冷蔵庫や録画中のレコーダー、デスクトップPCなど、他の機器まで巻き込みます。

確認先内容
管理会社(賃貸・分譲)「情報盤の電源はどのブレーカーか」と聞けば図面で分かる
施工業者(戸建て)住宅メーカー・工務店に竣工図面がある

それでも分からない場合は、下の「特定できない・触れないとき」に進んでください。

再起動の手順

  1. 分電盤で、情報盤に該当するブレーカーを1つだけ切る
  2. 1分待つ
  3. ブレーカーを入れる
  4. 3〜5分待つ

ONUは電源が入ってから回線を掴み直すまでに時間がかかります。ブレーカー方式ではONUとルーターが同時に立ち上がるため、ルーターが先に「回線が無い」と判断して繋がらないことがあります。すぐに繋がらなくても、5分は待ってください。

5分待っても復旧しない場合は、もう一度だけ同じ手順を試します。それでも駄目なら再起動では直らない問題なので、下の「直らないとき」に進んでください。

同じ回路に他の機器が乗っている場合

ブレーカーを切ると、その回路のコンセントすべてが停電します。切る前に確認してください。

  • 録画・ダウンロード中の機器がないか
  • デスクトップPCで保存していない作業がないか
  • 回路を共有している部屋の照明が消えて困る時間帯でないか

ブレーカーが特定できない・触れないとき

管理会社に連絡がつかない、分電盤自体が共用部にあるなど、自分では手が出せないこともあります。その場合の現実的な選択肢です。

状況対処
Wi-Fiだけ不調手元の中継機・メッシュ機器があればそちらを再起動する。原因がそこなら解決する
特定の端末だけ不調端末側のWi-Fiをオフ→オンする。機器の再起動は不要なことが多い
全端末で繋がらない回線事業者のサポートに連絡する。遠隔で機器を再起動できる事業者もある
賃貸で盤に触れない管理会社に「情報盤の機器を再起動したい」と伝える。設備側の不具合なら管理側の対応になる

回線事業者のサポートは、ONUの状態を遠隔で確認できることがあります。「壁の中にあって触れない」と最初に伝えると話が早く進みます。

「扉を閉めると遅い」なら電波の問題

再起動しても改善せず、扉を開けたときだけ速くなるなら、原因は機器の不調ではありません。

これはメーカー側も想定していて、同じ説明書にこう書かれています。

無線LANルータを情報盤に収容した場合、電波が正しく届かない可能性があります。その場合、無線機器の居室内への設置、またはWi-Fi情報コンセントの設置をおすすめします

(出典: [1]

メーカー自身が「盤の外に出す」ことを推奨しています。 情報分電盤は元々「配線を集約する場所」であって、電波を飛ばす機器を金属の扉の中に収めることを主目的にした設備ではありません。

対処

盤の中にはONUとハブだけを残し、ルーターは居室内に置いて、盤からLANケーブルで繋ぎます。盤から各部屋にLANが配線されている住宅なら、この構成でも全部屋で有線が使えます。

説明書にある「Wi-Fi情報コンセント」は、各部屋のLANコンセント側にアクセスポイントを付ける方式です。どちらも配線の変更を伴うため、賃貸なら管理会社、持ち家なら電気工事店か回線事業者への相談になります。

「ルーターが入らない」なら押し込まない

情報分電盤 ルーター 入らない で検索する人が一定数います。盤の奥行きが足りず、市販のルーターが物理的に収まらないケースです。

無理に押し込むと排熱ができず、発熱で通信が不安定になります。夏場に「夕方だけ遅くなる」といった症状が出ることがあります。説明書でも、電源コードや内部機器を無理に曲げたり引っ張ったり束ねたりしないよう注意されています(出典: [1])。

対処は上の電波の問題と同じで、ルーターを居室内に出すのが現実的です。盤の中の配線変更を伴うため、賃貸なら管理会社、持ち家なら電気工事店か回線事業者への相談になります。

リセットボタンは押さない

盤を開けられる環境だと、機器に「リセット」と書かれた穴を見つけて押したくなることがありますが、これは再起動ではなく初期化です

回線事業者が設定した接続情報ごと消えて、元より状況が悪くなることがあります。再起動が目的ならブレーカーの入切だけで足ります。

情報分電盤はどこにある?

壁に埋め込まれた 30〜50cm四方の白い扉です。

住居よくある場所
戸建て玄関脇 / 階段下 / 洗面所 / クローゼットの中
マンション玄関脇のパイプスペース付近 / 下駄箱の中

間取り図では「MB」「情報盤」「マルチメディアポート」と書かれていることがあります。扉を開けると、だいたい次のものが入っています。

  • ONU(回線終端装置) — 光ファイバーが刺さっている機器。事業者からの貸与品
  • ルーター — Wi-Fiを出す機器。ここにある場合と、別の部屋にある場合がある
  • ハブ — 各部屋のLANコンセントへ分配する機器
  • 電源タップ

⚠️ 盤の施工には電気工事士の資格が必要です。 中の配線を自分で変更することはできません。再起動が目的なら、前述のとおり開ける必要はありません。

再起動しても直らないとき

再起動は「機器が一時的におかしくなっている」場合にだけ効きます。次に当てはまるなら、原因は別のところにあります。

  • 再起動してもすぐにまた遅くなる
  • 特定の時間帯だけ遅い(夜間・休日など)
  • 有線で繋いでも遅い
  • 数日〜数週間かけてだんだん遅くなった

このうち「有線でも遅い」なら Wi-Fi の問題ではなく、宅内配線か回線側の問題です。「特定の時間帯だけ」なら回線の混雑が疑われます。切り分けの手順は『Wi-Fiが急に遅くなった時のチェックリスト』にまとめています。

配線方式そのものを確認したい場合は『VDSLとは?マンションが遅い原因と配線方式の見分け方』を参照してください。情報分電盤の中を見れば、光配線かVDSLかが判別できることもあります。