「下り200Mbps以上出ているのに、Zoomで自分の声が聞こえないと言われる」「Teamsの画面共有でカクカクする」――これらは多くの場合、下りではなく上り(アップロード)速度が原因です。
Web会議は自分の音声・映像を相手に「送る」通信なので、上りが詰まると会議が固まります。この記事では、なぜ下り速度ではなく上りが重要なのか、上り改善の具体手順、それでも改善しない時の判断基準までを解説します。
固まる原因は下りでなく上り
ほとんどの「インターネット速度測定」は下り(ダウンロード)速度を大きく表示するため、上り(アップロード)の重要性が見落とされがちです。
| 用途 | 主に使う方向 |
|---|---|
| 動画視聴(YouTube、Netflix) | 下り |
| Webサイト閲覧 | 下り |
| ゲームのダウンロード | 下り |
| Zoom/Teamsの音声・映像送信 | 上り |
| 画面共有(自分が共有する側) | 上り |
| クラウドへのファイルアップロード | 上り |
会議で「自分の声が途切れる」「映像が止まる」と相手に言われた時、原因はあなたの上り速度です。逆に「相手の声が途切れる」場合はあなたの下りまたは相手の上りに問題があります。切り分けの第一歩として覚えておいてください。
自分の端末からインターネットへデータを「送る」方向の速度。単位はMbps。Web会議の音声・映像送信、クラウドへのファイルアップロード、SNS投稿時の画像送信などで重要になります。日本の家庭向け回線は、PPPoE接続だと上り速度が出にくい構造の問題があります。
Zoom/Teams会議の必要上り速度
公式推奨値をまとめます。
Microsoft Teams(公式目安)
| 利用シーン | 上り推奨 | 下り推奨 |
|---|---|---|
| 1対1音声通話 | 30Kbps | 30Kbps |
| 1対1ビデオ通話(HD) | 1.5Mbps | 1.5Mbps |
| グループ通話(HD) | 2〜2.5Mbps | 2.5Mbps |
| HD会議 + 画面共有 | 3〜4Mbps | 3〜4Mbps |
| 大人数会議(10人以上) | 4Mbps以上 | 4Mbps以上 |
Zoom(公式目安)
| 利用シーン | 上り推奨 | 下り推奨 |
|---|---|---|
| 1対1ビデオ通話(HD) | 1.2Mbps | 1.2Mbps |
| グループ通話(HD) | 2.6Mbps | 3.0Mbps |
| 画面共有併用 | 3〜4Mbps | 3〜4Mbps |
これらは「最低限」の数値です。実際には、家族が同時に動画を見たり、バックグラウンドでクラウド同期が走っていたりするため、実測で5Mbps以上の上り速度を確保するのが安心です。下り速度は100Mbpsもあれば余裕ですが、上りは見落とされがちなのでチェックしてください。
在宅勤務全般のネット環境構築は「在宅勤務に最適な回線の選び方」もあわせてご覧ください。
Wi-Fi 5とWi-Fi 6の差
意外な落とし穴として、ルーター(Wi-Fi規格)の世代差で会議の安定性が大きく変わります。
| 規格 | 世代 | 特徴 | 同時接続安定性 |
|---|---|---|---|
| Wi-Fi 4(11n) | 2009年 | 最大600Mbps、2.4/5GHz | 低 |
| Wi-Fi 5(11ac) | 2014年 | 最大6.9Gbps、5GHz中心 | 中 |
| Wi-Fi 6(11ax) | 2019年 | 最大9.6Gbps、OFDMA対応 | 高 |
| Wi-Fi 6E(11ax) | 2021年 | 6GHz帯対応、干渉に強い | より高 |
| Wi-Fi 7(11be) | 2024年 | 最大46Gbps、超低遅延 | 最高 |
Wi-Fi 6から採用された**OFDMA(直交周波数分割多元接続)**技術により、複数台が同時にWi-Fiを使う環境での通信効率が大幅に向上しました。
家族4人がそれぞれスマホ・PC・タブレットを使う家庭では、Wi-Fi 5から6に変えるだけで「Web会議が固まる」が解消するケースが多く報告されています。
ルーターの設置場所も会議品質に影響します。「ルーターのベストな設置場所」も参考にしてください。
上り速度の測定方法
実際にあなたの上り速度を確認しましょう。
推奨測定サイト
- Speedtest by Ookla(speedtest.net):上り・下り・Pingを同時表示。最も一般的
- fast.com(Netflix提供):シンプル。詳細表示で上りも測定可能
- Google「インターネット速度テスト」:検索結果から直接測定可能
測定のコツ
- Wi-Fi接続と有線接続の両方で測定
- 有線で速いのにWi-Fiで遅いなら、Wi-Fiが原因
- 時間帯を変えて複数回測定
- 平日昼12時 / 平日21〜23時 / 休日午後
- 21〜23時だけ極端に遅いなら回線混雑
- 会議が固まった直後にも測定
- その瞬間の数値が一番正確
「下りは200Mbps出てるから問題ないはず」と思い込んで、上りを測ったことがない方がほとんどです。実は上りが3Mbpsを切っているケースが、PPPoE接続の家庭では珍しくありません。一度測ってみると、原因がはっきり見えてきます。
IPoE切替で上り改善
測定の結果、上りが10Mbps以下なら、IPoE(IPv6)切替で大幅改善する可能性が高いです。
PPPoEとIPoEの違い
| 接続方式 | 経路 | 混雑時の上り速度 |
|---|---|---|
| PPPoE | プロバイダ経由(網終端装置あり) | 詰まりやすい |
| IPoE(IPv6) | 直接インターネットへ | 詰まりにくい |
PPPoEは「網終端装置」と呼ばれる関所を通る方式で、利用者が増える夜間に詰まります。IPoE(IPv6 IPoE方式)はこの関所を通らずに直接インターネットへ抜ける仕組みのため、混雑の影響を受けにくく、上り速度も安定します。
IPoE切替の手順
- 自分のプロバイダがIPoE対応か確認
- ドコモ光、ソフトバンク光、auひかり、NURO光など、主要回線はほぼ対応
- オプション申し込み(無料 or 月額数百円)
- 多くのプロバイダはWeb手続きで完結
- 対応ルーターを用意
- IPv4 over IPv6(v6プラス、transix、IPv6オプション等)対応ルーターが必要
- 数日〜2週間で切替完了
詳細は「IPoEとは?仕組みと設定方法」「IPv6とは?遅い回線が速くなる仕組み」で解説しています。
どうしても改善しない時の乗換判断
IPoE切替・Wi-Fi 6化を試しても上り速度が10Mbpsを切る、もしくはゴールデンタイムに会議が固まり続ける場合は、回線そのものの見直しを検討するフェーズです。
判断のチェックリスト
- 有線接続でも上り速度が10Mbps以下
- IPoEに切り替え済みなのに改善しない
- マンションでVDSL方式の可能性がある
- 平日21〜23時にだけ速度が大きく落ちる
これらに当てはまる場合、プロバイダ側の問題または配線方式(VDSL)の問題である可能性が高いです。
乗換候補
- ドコモ光・ソフトバンク光:光コラボでIPoE標準対応プロバイダが豊富
- auひかり・NURO光:独自回線で上り速度が安定(上り最大1Gbps)
- コミュファ光(東海)・eo光(関西):エリアが合えば独自回線の安定性
東京・大阪エリアにお住まいの方は、エリア別の選択肢を「東京23区のネット回線まとめ」「大阪のネット回線まとめ」でご確認いただけます。
まとめ
Web会議が固まる原因の多くは、下りではなく上り(アップロード)速度です。
- まず上り速度を測定する(Speedtest等)
- Wi-Fi 6ルーター+**IPoE(IPv6)**で多くは改善
- それでも改善しないならプロバイダ・配線・回線の見直しへ
下り300Mbps・上り3Mbpsという「片方だけ高速」な状態で在宅勤務するのは、もったいないです。上りを意識した環境構築で、会議のストレスは大幅に減らせます。
当サイトは報酬単価で順位をつけません。あなたの利用パターンに合った中立的な選択肢をお伝えします。